店づくり以上に大切なのは、お客様に提供する料理とサービスである。
「庄や」が居酒屋ではなく「大衆割烹」を屋号に銘記しているのは「高級割烹に負けない食材と技術、サービスを大衆価格で提供する」という基本コンセプトによるものだ。器としての店づくりのみで競争しようとすれば、それは新しい店に一歩譲るしかない。飲食店の本当の競争は、使用する原材料とそれを最高の料理に仕立て上げる技術、そして心のふれ合うサービス、それしかないと佐藤は考えている。
メニューの数を絞り、機器による工程管理によって、アルバイトが料理をつくるというチェーン展開の理論に逆らい「庄や」は板前による調理、つまりは「手づくり」にこだわり続けている。和食は手づくりによってしか最高の料理ができないという信念によるものだが、これは人のぬくもりや心のふれあいを大切に考え、やすらぎや感動・感激をお客様に感じていただくことを重視する「庄や」の姿勢なのである。
「手づくり」にこだわる以上、新鮮な食材に関してのこだわりがどこよりも強い。「かんなん丸」では、業界最大手である「大庄」の傘下であるメリットを活かし、新鮮な食材を仕入れることが出来る。「大庄」では、野菜は産地直送の有機栽培のものを使用。魚介類に関しても朝獲れたものを、できるだけその日のうちにお客様に提供できるよう心がけている。また、新鮮な味覚を損なわない氷温冷却技術なども、業界に先駆けて導入するなど、食材に関してのこだわりは類がない。