佐藤の最初の店「炉辺」は、板橋で開店した。
カクテルスクール、それが彼にとっての大きな転機となった。胸に志を抱いて学んでいた彼は、やがて、スクールの先生に認められ、銀座のクラブを紹介される。そこでバーテンダーとして働きながらも、やはり自分の店を持ちたい、独立したい、という夢は常に持ち続けていた。考えているところに助言を与えてくれたのが、銀座の店を紹介してくれたカクテルスクールの恩師だった。
「大阪で流行っている『炉端』の店を出してみたらどうだろう」
こうして、佐藤の最初の店「炉辺」は、板橋で開店した。当時を振り返ってみると、ただ無我夢中で懸命に働いた。そして、それがとても楽しかったと彼は答える。その結果、店は繁盛。当時関東では珍しかった全品百円均一の炉端焼きの店は、マスコミにも取りあげられ、大成功をおさめる。